「エレンディラ」(さいたま芸術劇場)を観る
8月21日、昼観劇。上演時間は、15分と10分の二回の休憩を入れて、3時間55分くらい。4時間は少し切るけれど、本当に長い。おまけに今日のA席は、2階の横の席。コクーンで言うとコクーンシートみたいな席で、ふつうに座っていると半分は見切れてしまう。2階の正面席や中2階などはがらがら。S席指定になっているらしい。
奥行きをかなりとった演出なので、本当に観にくいままの4時間はなかなかつらかった。ガルシアマルケスの小説を燐光群の坂手洋二が脚本化しているわけだが、坂手さんの芝居は、スピーディに場面が積み重なっていくところが特徴。しかし蜷川演出はそれぞれの場面を丁寧に、情念を込めてたっぷりと描き出す。なので、どこか冗長。現実と幻想が入り交じり、語りが何層も重なっているような戯曲構造もちょっと難解で、特に一幕、二幕は間延びしている感じだった。三幕だけでも芝居として成立しそうなくらいの内容だった気がする。
エレンディラ役の美波は、野田地図の「贋作・罪と罰」で注目していたが、ここでも健闘していた。露出が激しくて、いいのか、というくらい。蜷川さんに相当追い詰められたのではないか、という気がした。役柄もかわいそうな娼婦だし、俳優としてもずいぶんと思い切っているのだろうがちょっと痛々しいのとギリギリのところ。ラブシーンも濃厚すぎるなと思っていたら、三幕であっさりさせてくれたので少し救われる。「罪と罰」の時のようなはじけた感じがうまいのでもう少し感情にまみれる場面もほしかった。意外となかったのだ。
中川晃教はミュージカル俳優としての実力を発揮する場面があまりなくて残念。音楽が「ピアノレッスン」のマイケル・ナイマンということでもう少し歌が多いのかと思っていたが、ほんの少しだけ。これも残念。立石涼子は中川の母の役なのだが二幕と三幕に出番が数分ずつ。あとは群衆のなかにいたのかもしれないが判別できず。蜷川さん、こんな使い方が最近目立つが本当に大丈夫なのだろうか。いくら世界の蜷川と言っても、あれはちょっとひどいと思う。
孫を娼婦としてこきつかう祖母役の瑳川哲朗は怪演。美波と中川もでずっぱりに近く、そうとうな健闘だとは思う。とにかく構造が難解なのと、見切れてしまい集中できなかったので、もう一度観た方がいいのかもしれないが、また4時間かと思うとどうかなあ。うっかり上着を持って行かなかったのですっかり冷えてしまったため、ポストパフォーマンストークは結局聞かずに退散してしまった。
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