佐渡で思ったこと
佐渡には、非常勤先の大学でお近づきになったお能のT先生が、佐渡の別々の能楽堂で三夜連続公演を行われるということで、そのうち、創作能が上演される二夜に伺うために、訪問したのである。
さて、不勉強にして知らなかったのであるが、佐渡は「芸能とトキの里」というキャッチフレーズが両津港のでっかい宣伝塔?に能面と一緒に書かれているごとく、能楽が非常に盛んな土地柄なのだった。
地域ごとの神社には能楽堂が併設されており、佐渡からの日記に載せたような古風な茅葺きの能楽堂もある。島中に三十何カ所あるとのことだ。自然と融合したそのたたずまいだけですばらしいのに、土地の人たちが実際にそこで能を演じているという。6月が能の月間?になっておりそのときは毎日といっていいほど、能が上演されるそうだ。
今回の公演はいずれも「鼓童」(佐渡を本拠地としている世界的太鼓集団)のメンバーによる演奏+狂言+古典能あるいは創作能という一般受けする組み合わせではあるけれど、車でしか来れないようなへんぴな神社に日が暮れると老若男女がわらわらと現れて400人も集まる。それも本当にふつうにそのへんにいるような人たちが席を争うように集まり、そして難しいお能でも、飽きたり居眠りする様子もなく、最後まで熱心に観ている。ああ、本当に地域に芸能が密着しているのだなあ、と肌で感じることができた。
世阿弥が流された土地だからということなのかな、と思ったがそれよりも天領となってからの最初の奉行が能楽師出身だったとかで能を普及させたのだそうだ。また昨今の観光町おこしのような傾向でふたたび最近になって盛んになった面もあるよう。
現代演劇でも、よく「月に一度は誰もが劇場に通うような状況になるといいね」みたいな話を聞くが、佐渡では、能、狂言についてはある意味、それに近く、浸透しているといえるのではないか。
ここには現代演劇が一般に根付くためのいくつかのヒントがあるかもしれない。というところでちょっと長くなったのでまたいずれ。
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