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2007/08/31

「ロマンス」(世田谷パブリックシアター)

こまつ座+シスカンパニーの共同制作。井上ひさし脚本、栗山民也演出。大竹しのぶ、松たか子、段田安則、生瀬勝久、木場克己、井上良雄。内容はチェーホフの人生。約3時間。

チェーホフは幼い頃から「ヴォードヴィル」(笑劇)にあこがれていて、大きな影響を受け、最後まで「ヴォードヴィル」的な作品にこだわっていた。という視点から、作品自体も笑劇の積み重ねの構成になっている(まあ井上さんのはだいたいそうなのだが)。


趣向として面白いのは、チェーホフの少年期、青年期、壮年期、晩年を、登場する男優が次々と引き継いで演じること。生瀬さんから段田さんあたりは、いいなあ、と思うが、44歳で亡くなったチェーホフの晩年を木場さんに持っていったのはどうか…他の二人とは体癖もあきらかに違って見えるし、いくら病気だったからとはいえ、…あまりリアリズムで見ないほうがいいかも。「ヴォードヴィル」だし・・・・それから、チェーホフ作品のセリフのテイストとか、内容を髣髴とさせるように作られていること。これも面白い。

松たか子は、「ひばり」の時などよりよく見えた。チェーホフの妹役だが、抑えた感じや衣装の感じなどがあっていて、きれいだなと思えた。

大竹さんはコメディエンヌ風の部分も発揮して、安定感があるが、歌の部分ではいつもと比べてさえない。体調がよくないのだろうか。井上良雄の歌もよかった。

前半は一気呵成に入り込ませるが、後半は少しだれた感じ。遅筆堂氏も今回はシスとの共同ということで初日遅れはなかったけれどやはり後半のつめが甘かったか。トルストイが出てきたあたりのどたばたではうんざりしてしまった。終わってみるとやっぱり典型的な井上ひさし作品のつくりに近かった。

それでも栗山演出はやはり照明の使い方や空間の配置がうまく、こまつ座があまり使わない世田谷パブリックシアターの空間ということもあって、なかなかいい雰囲気を作り出していたと思う。パンフレットは、こまつ座の時は「ザ座」という月刊誌みたいなのだが、今回は独自のもの、でもデザインも素敵で、チェーホフ夫妻の伏字がとれた書簡文など資料的にも価値がありそうでよかった。

よく考えると「三人姉妹 −喜劇四幕ー」と「喜劇」がついているんだよな。(手元の新潮文庫では「戯曲四幕」だけど)」チェーホフを「笑劇」としてもう一度読み直してみたくなったのは確かである。

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