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2007/07/15

「国盗人」「やや黄色い熱をおびた旅人」

仕事上では次々と問題が起こり、もちろん自分も巻き込まれてはいるのだが、内心とてもシニカルに状況を捉えている。 そんななか気分転換になるのはやはり観劇だ。7月に入ってひさしぶりの観劇はまたも水曜の昼夜ハシゴ観劇となった。

7月11日、マチネ。世田谷パブリックシアターにて、野村萬斎演出、出演の「国盗人」を観る。シェイクスピアのリチャード三世を、狂言風な演出で翻案したもの。出演は他に白石加代子、今井朋彦など。二階席一列目より。

休憩20分を含めて3時間の長丁場。「間違いの喜劇」を翻案した「間違いの狂言」や中島敦の小説をもとにした「山月記」は狂言役者で出演を固めたが、今回はそうでもなくやや現代劇よりとも思える。

それにしても舞台装置からはじめて、演技や演出の隅から隅まで、考え抜かれた創意工夫の数々に、萬斎の追求心というか執着心さえ感じた。こきみよいほど作り込まれたこだわりを感じうれしくなる。

「悪」の話であるが、すぐ隣のトラムでやっていたThe Beeと比べたら、狂言の喜劇風演出が功を奏したのか(いや、でもこの作品を観るたびに思うのだが)復讐の連鎖のおぞましさよりは、懸命に生きようとするリチャード三世(この作品では「悪三郎」)がいとおしくなる。不思議な芝居だ。もっとも古い人間の本質は悪だと断じた哲学者シオランの言葉を思い起こす。「山月記」よりもよいできだと思う。

夜は新宿シアタートップスにて壱組印「やや黄色い熱をおびた旅人」を観る。珍しく出演者目当てで行った。一青窈の姉である一青妙(たえ)さんが目的。しかし思いがけずよい芝居だった。原田宗典の新刊(8月に刊行予定のようだ)を原作とした旅行記もの。

戦争と平和の旅、と題してアフリカのエリトリア、クロアチア、カンボジアなどを回る取材旅行で出会った出来事をたどる。芝居は現地の歌を交えて、ときにコミカルでもあるが、やがてシリアスな戦場の現実が客席に突きつけられる。構成がしっかりしていてかなり面白かった。

妙さんは主人公の妻の他、数役。芝居も上手。歯科医として診療もしているということだが、単なる趣味的な実力ではなかった。

しかし劇団桟敷童子からの客演である板垣桃子はやはりすごい。もっとも迫力ある演技だった。今回は客演が多いらしく妙さんもその一人なのだろう。小劇場演劇としてかなり完成度の高いものとなっていた。客席がせまくて蒸し暑かったのが難点だったが、もともと芝居自体には期待していなかったので、得した気分で気持ちがよかった。

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