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2007/06/03

机上風景「幻戯」

もう一週間以上、経ってしまった。5月26日(土)マチネ公演を観劇。新宿タイニイアリス。ひさしぶりのアリスで場所がわからなくなり、迷ってしまう。遅めに着いたため、最前列の桟敷席に。激しいキスシーンもあり、ちょっと気恥ずかしく、そしてかなり腰が痛く、2時間近い上演時間をすごした。ここを観るのは二回目で、前回は古川さんという方の作・演出の作品「乾かせないもの」。今回は高木さんの作・演出だ。

こういう場所が現在も実在しているのか知らないが、料亭のようにも思える日本家屋のような場所で、売春が行われる。「遊郭」というには、ちょっと風俗、っぽいし、風俗、というには、なんだが情緒的だ。こんな一種の「裏風俗」での物語。

高木さんは、脚本をずっと書いてきて、演出はしてこなかった人のようだ。そのためか、空間処理が、これでいいのかな、というところはあった。実際私が座っていたところからは逆側の庭に当たる部分での演技がかなり見えにくい。とくに地べたに座り込んだり、ものが地面にばらまかれるシーンなどはわからなかった。役者の出入りも、ほとんど庭の側から。座敷の方がかなり広く空間を占めているのだが、あれだけの広さが必要だったのか、ちょっと疑問であった。

逆に、脚本はさすがに面白いし、よくできている。中心人物である「遊郭」のベテラン?風俗嬢(ホステス?)の人格が分裂してしまっていて、もうひとりの人格を生み出してしまっているというようなあたりの、多重性と、実在するのかしないのか、というミステリアスなところが、うまく書き込まれていると思った。

やはり気になるのは、この「遊郭」という場の設定だ。現在、こういう場所があるとしても普通には知られていないわけだし、虚構の場所として作られたのかもしれないが、いずれにしろ、もう少し、どういう存在の場所なのか、が書き込まれてもよかったのではないか。

たとえば、まったくの「幻想」の場所として存在したのか。それとも、裏の場所として、世間には知られず、法の規制をすり抜けて存在し続けてきた場所として設定されていたのか。

ただ、確かにこれが「ソープランド」という設定だったら面白くないし、この物語は成立しそうもない。しかし出てくる人物はお客も店の女性も現代風ではある。そのへんの説得性があると、社会風刺みたいにもなったのかもしれないが、作者の意図はそこにはなかったのだろうか。

役者さんは力量の差がいろいろあるとは思うのだが、前に見たときにも感じたのだが、セリフや動きがないときに存在感だけで何かを語る、というところがまだあまりないのかな、と思う。黙っているときに役の人物ではなく素人さんに見えてしまうような・・・そのへんがんばってほしい。

実は招待で見せてもらったのでちょっと厳しく書いてみた。何かもうひとつ・・・笑いでもいいし、華やかさでもいいし、逆に暗さやエログロでも、前衛性でもいいのかもしれないけれど、ひとつ、突出した特長が出てくると、さらに注目される劇団になるのではないだろうか、と思う。今後も期待したい。

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コメント

「幻戯」について書いて下さってたことに気づき、お断りもせずにリンクさせていただきました。http://alices-review.tinyalice.net/?eid=686087

 もしダメッ!ということでしたら、恐れ入りますがひとことお知らせをお願いします。すぐ外します。お名前も、これでお差支えなかったでしょうか?

 よろしくお願いします。

投稿: 博子 | 2007/07/11 19:38

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