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2007/05/25

シアタートラム「死のバリエーション」

23日(水)マチネ。シアタートラムにて。。ノルウェーの作家、ヨン・フォッセの戯曲をフランスの演出家アントワーヌ・コーベが演出、出演は長塚京三、高橋恵子、伊勢佳代、瀬川亮、笠木誠、杵鞭麻衣。上演時間は1時間30分程度。

もともとの戯曲が抽象度の高い、詩的な言語でつづられているようで、以前に観た大田省吾演出の「だれか来る」は、かなり難解に感じられたのでそれなりに覚悟していた。 が一方では、アントワーヌ・コーベの演出は永井愛の「見よ、飛行機の高く飛べるを」を観ていて、いかにもフランス系というか、ちょっと斬新な感を出していて、面白かったのでこの組み合わせでどうなるのか、という期待もあった。

話としては、離婚して年月のたった前夫のところに前妻が娘の死を知らせに来る。そこでの会話から、二人が結婚し娘が生まれた頃から、娘の成長や二人の離婚など、いままでの二人の生が回想されていく。とはいえ、単純な回想ものというわけではなく、年老いた二人と若い日の二人が、同時に舞台上に存在し、お互いの言葉を引き取ったり、受け渡したりするとともに、娘の「友達」と呼ばれる(私は「死神」なのかと思っていた)霊的?(想像上の?)存在が、役として現れる。

こうした、コーベの演出は、かなり功を奏していたのではないだろうか。話がとてもわかりやすくなっていた。というか、わかりすぎて、ちょっと陳腐な気がしたくらいである。西洋からすると、こういう、生と死が一つの次元で時間や空間を越えて人間存在のなかにあるということが、斬新な捉え方となるのかもしれないが、むしろそれらは東洋には伝統的にあることではないか。 むしろ夢幻能の世界がかなり遠回りをして、現代風によみがえっているようにも思えた。 コーベ自身も日本人や日本文化の死生観がこの作品の世界に近いことに気づいていて、パンフレットに寄せた文章にもそう書いていた。

娘は人と交わらず、自分の世界に閉じこもり、「友達」にだけ近しい。そのため娘の死は自殺かと思っていたのだが、どうもそうでもないのかもしれない。「もっと生きたかった」というセリフもあり、波にさらわれた事故死とも考えられる。

まっさらに近い舞台で演じられるし、照明も暗めで、音楽も一部を除いて地味。だが、「友達」のコミカルな態度や、一部にダンス的な要素を入れたり、老夫婦の身振りも一部分、大げさなおかしさを取り入れたりして、立体感が出ていたと思う。 役者ではベテランはもちろん安定感があったが、若い妻の伊勢佳代、娘の杵鞭麻衣、友達の笠木誠が目を引いてよかった。

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