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2007/04/08

『別れの唄』(青年団国際演劇交流プロジェクト2007・日仏合同公演)

新年度でそれどころではないはずなのに、またも連続で観劇の日々。

5日は、シアタートラムで、平田オリザ作「別れの唄」。フランス側(ティヨンヴィル=ロレーヌ国立演劇センター)の依頼により書かれた日仏合同公演。平田氏の脚本を、ロラン・グッドマンの演出で。役者を含めた長い討議の上でフランス語脚本が完成したようだ。 これはおすすめ。5日の時点で8日(日)の公演はかなり席が空いているという。

日本人と結婚したフランス人女性が東京で病のために幼い子供を遺して、なくなり、お通夜の席にフランス人の親兄弟が集まって来る。日本人の夫とその妹(フランス語が堪能な設定)、および葬儀屋が登場人物。古い民家の畳敷きの広間が舞台となっていて、四方は鏡ばりの美術である。本来はふすまを鏡ばりにして迷宮的な舞台にしたかったとは、美術を兼ねるグッドマン氏のアフタートークの言葉であった。

平田風の世界が、比較的奇をてらわない、持ち味を残した演出となっていて好感が持てた。日本の葬儀や風習に違和感を覚えつつも理解をしようとするフランスの家族たち。日本人もまた。日本人ならよくわかる葬儀屋の振る舞いもいかにも滑稽にみえてくる。闖入するなくなった女性の前夫(フランス人)など。

笑いも多く起こり楽しく観ることができた。しかし残された夫にあまりにも悲しみの痕跡すらみられないのはさすがに葬儀で気を張っているからとはいえ不自然に思えた(フランス人側のセリフとして、悲しくないのだろうか?といぶかるシーンもあるのだが、もうすこしやつれた感が出た方がいいのではないかとも思えた。)

最終部の「月」についての会話も秀逸だが、そこで相互理解を持ち出すのは(持ち出したのはアフタートークの平田さんだが)なんとなく安易な気がしないでもない。

なぜか「赤鬼」のようにマスコミにとりあげられないのは不思議な気がするが、かなり気合いの入った、そして意義のある演劇の国際コラボだと思う。フランスではすでに3週間の公演が行われており5月のパリ公演を待たずに再演が決定しているとか。今回の日本公演は4日間しかないのがなんとも残念だ。
こういう繊細に書き込まれる演劇がフランスで評価されているというのは、小津安二郎の評価みたいなものと近いところがあるのかもしれない。もともと平田さんの作風は小津テイストが入っている訳だし。

青年団国際演劇交流プロジェクト2007
日仏合同公演「別れの唄」

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