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2007/04/19

『現代能楽集 AOI/KOMACHI』

13日、世田谷パブリックシアターで「現代能楽集 AOI/KOMACHI」を観る。世田谷パブリックシアターの企画でそのつど違う劇作家・演出家によって古典能楽を現代風に書き換えて上演するシリーズ(背後には三島由紀夫の「近代能楽集」があるのだろう)。現在までに3シリーズあったが、これは一度目の再演。一度目だけ観ていなかったので観ることにする。初演はシアタートラムの方なのでハコが大きくなっている。今回は北米ツアーを行ってきたらしい。川村毅の作演出。

三島も近代能楽集でとりあげている「葵の上」と「卒塔婆小町」を現代化。AOIでは光源氏はカリスマ美容師に、葵の上はその恋人、六条御息所は、美容師と以前不倫関係にあったセレブな年上の人妻、という設定。六条役の麻美れいが生き霊として美容師ヒカルのもとを訪れるのだが、恐ろしさよりも、ヒカルを取り戻したいとの必死さをコミカルに出している。ヒカル役は長谷川博巳。もう少し大人の雰囲気が欲しかった。麻美とは親子ほどに見えてしまう。

KOMACHIは、売れない映画監督(手塚とおる)が、ふらっと入った古い映画館で、戦争映画や戦後映画で活躍し、忽然と引退した大女優の老いた姿に出会う。女優はダンサーの笠井叡が、台詞なしのダンスのみで演じる。執事役の福士恵二がこの老いた「小町」を主役に、死んだ「少将」が遺した脚本で映画を撮れ、と監督に迫る。やがて監督は老いた女優の魅力にとりつかれ、取り殺されてしまう。

オリジナルの設定を生かしながら、現代風に設定をもってきた発想のうまさには舌を巻く。なるほど、である。しかし、川村毅作品のスノッブさは覚悟していたものの、ちょっと奇矯な演出が多すぎる。心の中で失笑していた。下半身のみの裸体の像を、人妻の夫に見立てたり、アオイを最後にスキンヘッドにしてみたり、深草少将の首が戦場に転がっている映像を大写しで映してみたり。笑いを誘っているのだろうとも思えるが、かなり悪趣味だ。どうにもああいうところは好きになれない。

ついでに言えば、「小町」は「永遠の処女」と呼ばれているので、原節子を揶揄しているのだろうか。原節子好きの自分としてはあまりいい気分ではなかった。

貫禄がありながらコミカルな面も出せる麻美、長い台詞を独特の口調で語る手塚。マイム的な身体演技が興味深い福士、そしてダンスがすばらしい笠井。これら、出演者のうまさに救われている作品だと感じた。 三島の「葵の上」はTPT(たぶんデビットルボーの演出?)で。「卒塔婆小町」は蜷川演出のものをコクーンとさいたま芸術劇場で観ているが、設定の発想の現代らしさをのぞいては、やはり圧倒的にそちらの方がよかったと思う。

現代能楽集シリーズは3シリーズとも作家の個性がもろに出ているが、作品としては「超微妙」(笑)といわせてもらいたい。

世田谷パブリックシアター『現代能楽集 AOI/KOMACHI』

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