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2006/08/26

野田地図ロンドン公演"The Bee"詳細報告2(野田ML投稿文章)

続けてMLに投稿した"The Bee"の詳細報告文章その2です。

さて、後半、オゴロの息子と妻の指を切り取っていく所ですが、、どんな風にやっているかというと、小道具に使われている赤鉛筆を握った、指と指の間にはさんでいるのです。これは最初、そうやって、イドと、人質になったオゴロの息子が、怪獣ごっこのようなことをして遊んで仲良くなるのですが、そのまま息子が手に挟んでいた赤鉛筆を指に見立てて、ボキッと折ったり出刃包丁で切り落としたりするのです。

鉛筆が折れる音がなかなかリアルに感じられます。オゴロの妻の方は、割り箸を同じようにして、指を切り取られるように見立てています。

最初に子供の指を折ったところで、日本語の「マイウェイ」が音楽として流れ、スローモーションで子供と妻がのたうち回ります。このマイウェイのバージョンもよく知られた「今、船出が、、」というのではなかったので、誰のバージョンなのかよくわかりませんでした。テナー系の高い声の男の声で歌われています。

そして指を切り取り、送りつけ、相手の妻に食事を作らせ、セックスをし、寝る、というルーチンが続いて行くところでは、次第にこのルーチンが形式的、儀式的になって行きます。ここでは、オペラ「蝶々夫人」に使われている音楽が流れて行きます。調べてみたところ、原題、Coro a bocca chiusa という短い合唱曲です。(「通称「ハミング・コーラス」というのだそうです。)

このあたりは、西洋が東洋を犯す、というような国際関係を読み込むこともできるように仕掛けられているように思います。そうなると復讐の末に自らを傷つけるしかなくなる、というのも、テロとの闘い、と称されるものを批判しているように見えてきますし、かなり意味深であると思います。

それから「キングオブシェフ」ですが、イドがオゴロの妻に食事を作らせようとするシーンで壁のテレビに料理番組が映るのですがそこに現れて、「ナイスなロマンティックな夜だね」みたいなことをいいつつ料理を作っているのですが、これはいまいち、よくわかりませんでした。食欲と性欲、のようなことを表現しているかな、といまのところ思っています。

野田演劇から日本語を抜いて、でもできうるかぎり野田演劇のテイストをそのまま英語圏で伝えようとするとこうなるのかな、という感想です。そして蜷川さんのように伝統的なオリエンタルテイストではなく、たとえば昭和後期の日本の生活の雰囲気を恥ずかしい部分も含めて翻訳してみせているといった感じがします。

そういえばレポーターが何度も「NHKニュースです」とかいうのです。これじゃNHKで放送できないのでは?と危惧されます。録る予定があるのかは知りませんが。。。

客席の反応は、というと、これはロンドンの人はみんなそうなのかもしれないけど、すぐに席を立つというよりは、がやがやがや、と話しだします。やっぱり内容が内容だけに、話さずにはいられないのでしょうか。途中退場の方も4日間で気がついたのは1人だけでした。カテコはあっさりと2回でした。あのブラックな内容では感動して、大拍手、というわけにはいきそうもありません。

客入りですが、ほぼ毎日9割から満席に近かったと思います。特に4日目は土曜日とあって、満席で、ちょっとしたバルコニーのような席もあるのですが、そこにも人が座っていました。日本人も現地在住の方がかなり来られていたようです。初日は開演前のロビーに日本人女性が多くびっくりでした。2日目が日本人が一番少なかったように思います。客入りも8、9割といった感じでした。

プレビュー期間のため、毎日演出の微調整がありました。野田さんやキャサリンにして、小道具の扱いに失敗しあせりまくりの日もありました。4日間見て、やっぱりプレビューはプレビューだな、と感じました。これでやっと演出がほぼ固まって、初日を迎えて行くのでしょう。千秋楽にはかなりいいものになるのだろうな、と思うとこれから見る人がうらやましいです。とはいえ、公開1日目を見させてもらい、芝居がだんだんに変化して行くのを見られたのは貴重な経験だでした。

以上長くなりましたがご報告です。

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