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2006/08/24

8月ここまでの観劇 その1(「蝶のような私の郷愁」「骨唄」「紙屋町さくらホテル」)

さて、書ける時に書いておこう。Mixiのマイミクさんはごめんなさい。見たことある文章です。

10日。午後は、新宿に新しくできた「スペース雑遊」にて燐光群の「蝶のような私の郷愁」。ひさびさに、狭いスペースで良質の小劇場演劇を観た気持ちになる。この夏のシリーズ「組曲 二十世紀の孤独」の第一作目最終日。坂手洋二と占部房子の二人芝居。戯曲は松田正隆。昭和30年代くらいか、台風の夜の夫婦の会話から次第に二人が背負った過去の重さが明らかになっていく。

戯曲もよかったけれど、占部房子さんて魅力的な女優だなあ。坂手さんも昨年のセパレート・テーブルズに続いて俳優づいている。演出効果、照明もGood。(演出は鈴木裕美さん)

夜は吉祥寺に移動し、吉祥寺シアターにてトムプロジェクトの「骨唄」を。はじめて吉祥寺シアターに行ったが新しくできただけあってこぎれいで、小劇場というより多目的スペースというべきアトリエ風の空間がここちよい。

劇団「桟敷童子」主催の東憲司氏の作演出。桟敷童子の世界そのものだった(また「風車」かよ、と思ったのは以前見たのがそういう演出だったから)。しかし出演が高橋長英、新妻聖子、冨樫真という実力派の三人で、特に、高橋と冨樫の掛け合いはなかなか見応えがあった。たっぷりと「桟敷童子」的世界を堪能させてくれた。

新妻聖子も物狂いの演技で泣かせたが、もうひとつこの世界を表現するには泥臭さがほしかった。可憐さと泥臭さ、両方ないと難しい役どころだった気がする。

それでも最後のシーンは圧巻。これもまたひさびさに小劇場的世界をいごこちのいい空間で楽しむことができた。

17日。夜、新宿紀伊國屋ホールにてこまつ座の「紙屋町さくらホテル」を観る。こまつ座の上演としては再演にあたる。新国立劇場のこけらおとしとして初演されて新国立で再演。2003年にこまつ座での初演。

最近の井上ひさし作品は、説教臭い感じが鼻についてしまい、いまいちなのだが、この作品と「父と暮らせば」は最高傑作と言えるのではないか。何度見ても胸を打つ。

終戦の年の5月、広島の紙屋町ホテルは移動劇団の宿泊先となる。主たる俳優以外は、急ごしらえの素人劇団。アメリカ移民二世であるホテル支配人の女性や彼女を監視する特高刑事までが借り出される。そのなかに天皇の密使として陸軍の防衛実態を探るために薬屋にばけた海軍大尉とそれを追跡する陸軍中尉が潜入している。

突飛な発想は当時の情勢をあぶり出すためのいつもの作者の仕掛けだ。次第に彼らは「芝居の毒」に当てられ、その魅力にとりつかれていくが。

原爆の落ちる3ヶ月前の広島。そして軍人以外の登場人物のその後の運命は全く語られないのだが。

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