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2006/04/07

コクーン歌舞伎『東海道四谷怪談』(北番)を観る

やや、以前のことになってしまいましたが、まだ上演中のようなので、コクーン歌舞伎について記しておきたいと思います。今回は以前のコクーン歌舞伎と同じ演出になる「南番」と新しいエピソード(三角屋敷の場)を入れコンプリートストーリーとなったらしい新演出の「北番」と二種類の上演が行われています。しかし、こういうの、本当に多くなってきましたよね。両方観ないと何も言えないんじゃないかとか、好きな人は両方見ざるを得なくて散財だよな、とかいろいろ考えてしまいます。私が三月の末に観たのは「北番」でした。

★ 観劇日 3月28日(火) 13:00開演 3時間30分くらい?

南番を観た人に話を聞いたのですが、南番のほうが、プールや中吊りなどこけおどし的な演出が多く(まあそれがコクーン歌舞伎の特徴と言えば特徴ですが)かなり盛り上がってスタンディングオベーションで終わっていたそうです。うーん、2003年の『夏祭浪花鑑』を思い出すなあ。あの時は自分も本当にびっくりして、こんな演出があるのか、と驚いてスタンディングだったわけですが。

で、北番の方はそういうアクロバット的な演出はほとんど控えられて、スタンディングもなく、あっさりと終わっていました。多分、南番でははしょられてしまった、傍役たちの結末をはっきりとさせ、人間をきちんと描く演出になったのでしょう。それにやはり体力の問題で昼も夜もプールに入ったり飛んだりというのは無理なのかもしれません。

お堀の場では、黒子の人たちが黒ではなく水色の衣装をつけて、何人も舞台に横たわって、水の役割を果たしていました。考えていますが、本当の水が出て来ると思っていた自分はちょっとがっかり。最後のシーンでは、ちょっとアクロバティックになるのですが、何か象徴的なシーンのまま、終わってしまいました。

それから、昨年だったか、歌舞伎座の納涼歌舞伎で観た『四谷怪談』ではお堀のところではお岩さんも、もう一人の男の幽霊も勘三郎の早変わりだったのですが、それも別の方がやっていたので、これもちょっと期待はずれ。いや、たいへんなのはわかるのですが、一度すごいのを観ていると期待してしまうのですね。でも、今回も感心したのは、お岩さんが薬を飲むところの芸の細かさ。紙に残った薬の粉を、お茶碗にかぶせてぱたぱたやって中に落として飲む。そういう細かいところを細やかにやるんですよね、勘三郎。こちらは毒だとわかっているからほんとにせつない。

与茂七だったか、勘三郎のもう一役の男の結末がはっきりするので、お話としてはわかりやすくなっていると思います。七之助さんがやはりいいですね。印象に残る女形です。出ていませんけど菊之助と、この七之助あたりが今女形としてはよい感じではないでしょうか。これをNYに持っていくらしいと聞いたのですが、やはり南番を持っていくのでしょうね。NYでも受けるのはそっちでしょうから。そうなると北番はなんのためにやったのだろう。しっかりと人間を描く。それもすごく大事ですが、コクーン歌舞伎だ、という醍醐味がないのでは、ちょっとどうなのでしょうか。いまいちです。

三月に観たパルコの『決闘!高田馬場』。渋谷歌舞伎対決と言われましたが、北番と「高田馬場」だと、タイプが違うので申し訳ないけど、パルコに軍配をあげるしかありません。南番だったらどうだろうか。でも季節感の問題もあります。やっぱりコクーンで怪談なら夏に観たいですよね。昨年の「桜姫」だったら3月でもよかったですが、昨年は6月で今年は3月。いろいろ都合もあるのでしょうが、やっぱり歌舞伎は季節感を大切にしてほしい。(『野田版鼠小僧』なんかは納涼歌舞伎なのにクリスマスの話にしていて、まったく逆転させているところが逆に面白かったけれど。)

コクーン歌舞伎『東海道四谷怪談』

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