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2005/09/21

こまつ座『小林一茶』

コクーンでは、井上ひさしの旧作『天保十二年のシャイクスピア』が上演中だが、お膝元のこまつ座でも井上ひさしが「70年代最後に放った傑作戯曲」が上演されている。故郷信州に戻り、人口に膾炙する名句を作り出す以前の、江戸にいた頃の一茶が、出入りしていた商家の大金を盗んだ嫌疑をかけられる。若い同心見習(もと狂言作者)が推理のために容疑者一茶の立場になって劇中劇を演じる。一茶と同心見習五十嵐を演じる北村有起哉が奮闘している。

観劇日 9月16日(金) 18:30開演
上演時間 約3時間10分(15分の休憩含む)

紀伊国屋サザンシアターは半分より後ろに座るといかにも舞台が遠い。以前『頭痛肩こり樋口一葉』をみたときも最後列の席で、非常に遠かった。今回は最後列ではないが、それでも、いかにも遠く、3時間を超える上演時間はさすがにつらかった。

『天保』を観ても思ったことだが、70年代の井上ひさしはやはり今と作風が違う。特にエロティックなシーンを挿入するところが目立つ。またこの『小林一茶』に関して言えば、常に民衆や町衆といった一般庶民を正しい力として描く井上がここでは、連句の「座」というものを通して、日本的な「世間」を悪を温存させるものとして、批判の対象として描いているところが変わっている。こういうのもあるんだなあ。

北村や紅一点の出演であるキムラ緑子は出色だったが、木村光一氏の演出は、どうもオーソドックスで魅力にかける気がした。また「おや、○○屋のおかみで○○している○○さんじゃないか」といった説明的セリフがいかにも説明的に聞こえて、鼻についた。これは戯曲の問題か、それとも、役者や演出の問題なのか。

五十嵐が推理する自身番でのシーンと、劇中劇である一茶の出てくる様々なシーンとの入れ替わりのダイナミックさも残念ながらあまり伝わってこなかった。

井上ひさしの別面、そして小林一茶の意外な生涯を知ることができたことはよかったが、迫力ある戯曲を本当に生かしきれているのか疑問に感じる演出であった。まあ座席のせいもあったかもしれない。
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こまつ座『小林一茶』

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