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2005/06/24

『アルジャーノンに花束を』(劇団昴)

珍しく会議のない午後、職場をふらりと後にし、近場の劇場に当日券で入る幸せ。原作の『アルジャーノン』を初めて読んだのは、再版本が話題になった、89年か90年くらいだと思う。思えばその頃、劇団昴は、この作品の舞台化に取り組み、初演していた訳だ。今回は再々演とのこと。

観劇日 6月23日(木) 14:00開演
上演時間 約2時間35分(15分の休憩含む)

何度触れても心に残る物語だ。初めて読んでから15年。その時々、自分の考え方は大きく変化していても、新たな、投げかけがある。本を読んだときには、知恵遅れのチャーリーのつたない「けーかほおこく」の語りから始まり、その文体がやがて、知能の増大とともに、どんどん大人びて、皮肉屋の天才の文体となっていく面白さに圧倒された。

舞台では、そのチャーリーの知能の変化を、主演の平田広明が肉体で見せてくれた。やや典型的なきらいはあるが、段階的でありながら急激なチャーリーの知能と魂の変化を、見事に演じていた。そこに 彼の養護教諭であったアリス・キニアン(服部幸子)と研究所から逃亡している間に出会う、女性画家フェイ・リルマン(松谷彼哉)、そして幼い頃彼を捨てた思い出の中、および現在の両親と妹がからむ。

舞台版では、手術で知能を得ると同時に、幼い頃の悲しい記憶を取り戻していく過程が強調されていたと思う。現実と夢の記憶とを交錯させる演出はそれほど特殊なものではないが、うまく効果を出している。むき出しの鉄パイプで構成された舞台装置や、後半、リルマンの現れる70年代風ディスコのシーンなど、小劇場的なはじけた要素がいろいろあるのにも関わらず、ここの演出はあくまで真面目でおとなしく、新劇的であることが、ちょっと物足りないといえばものたりない。

チャーリーの相手役といってよいキニアンを演じる服部のやわらかい女性像が印象に残り、もう一度本棚から原作を探し出さなければと思わされた。

劇団昴

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「演劇」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
先生も見にいかれたんですね!
チャーリーの変化はエレベーターのようだと台詞もあったように、それがうまく出ていたなと思います。文章で表現されているものも気になるので、自分も機会があれば原作を読んでみたいです。
家族に会うシーンが印象的でした。母親もそうなんですが、父に解ってもらえないのがショックでした。妹にはわかってもらえたのが救いですが。
この話は、切なさ、葛藤、怒り等が渦を巻いていて、自分自身やるせなさで包まれた感じです。それに加え「白雉と天才が別人」とされているのが寂しくて好きになれないところですねー。

余談なんですが、WOWOW見れるんですね。羨ましいです。
将門も蛇も気になっていたもので…。

投稿: 東国 | 2005/06/26 00:44

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