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2005/06/20

シャウビューネ劇場 『ノラ』

【携帯更新】世田谷パブリック劇場で来日したシャウビューネ劇場の『ノラ』。イプセンの『人形の家』を現代ベルリンに移して。三月のフォルクスビューネは東ベルリンだが、こちらは西ベルリン。しかし、傾向は似ている。過激で破壊的な、そこまでやるか、的演技。かぶりもの、皮肉な笑い。しかしフィジカルな面白さはストイックなほどない。ノラはしばしば中空を見つめ、静止する。あれは何をみているのだろう。書き替えられた結末でも決して自由になれないノラ。この時代の女性の物語として鮮やかによみがえった『人形の家』だ。

観劇日 6月20日(月) 19:00開演
上演時間 約2時間15分(休憩なし)

演出家によるポストトークがあったのだが、週末の過激なスケジュールでちょっと疲れが出ていたので、そのまま劇場を後にした。この日のトークの内容は「しのぶの演劇レビュー」さんところに詳しいです。

演出家の言葉によると、ベルリンでは、最近、大学を出ても就職ができない若者が多く、その結果、女性の生き方が保守化し、仕事で生きるよりも、収入のある男性(つまり日本で言うセレブということか)の妻として余裕のある生活を楽しむ生き方を望む傾向があるという。そんななかで『人形の家』の問題は現代にも生きているというのだ。

以前、小倉千加子の『結婚の条件』を読んだのだが、不況・少子化の現代日本でもこの傾向があるというようなことが書いてあったと思う。確かに、子供が三人もいながら、夫に何かをねだるときは、自分のセクシーさをアピールするしかないいかにも未成熟な、この演出のノラは現代の夫婦関係の現実を匂わせる。

「登場人物すべてが子ども」とポストトークで演出家はいったそうだが、なるほどね。人間関係、家族関係がどんどんガキになっていく。これはすべての成熟社会を迎えた先進国の特徴じゃあないのかな。だから、夫を撃ち殺してしまうという結末もいかにもふさわしい。

この劇場(劇団)では、松尾スズキやケラの戯曲をリーディングしているようだが、まさにそれらの作品にもある豊かになった社会が行き着いた人間関係の暗闇・絶望といったものを、この演出も示していると思う。

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コメント

TB&ご紹介をありがとうございます!
そうなんですよね、疲れちゃうと居られないですよね、終演後。私はフォルクスビューネの時がそうでした。
『ノラ』の登場人物がみんな子供っていうの、聞けてよかったです。じゃないと最後がね(笑)。次の『火の男』も楽しみです。

投稿: しのぶ | 2005/06/22 23:59

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ノラ  ドイツのシャウビューネ劇場の来日公演です。チラシや公式サイトの情報か... [続きを読む]

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