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2005/05/23

『いとこ同志』(まつもと市民芸術館)

続けてこれも一週間を過ぎてしまったが、燐光群の坂手洋二氏が串田和美氏が芸術監督を務めるまつもと市民芸術館に書き下ろした作品をシアタートラムで。串田氏も出演するが演出は坂手氏自身。他に渡辺美佐子、宮本裕子、佐藤アツヒロという出演陣。土曜の午後ということもあるのか渡辺さんを見に来たと思われる年配のご婦人が多く目に付いた。

観劇日:5月14日(土)14:00開演
上演時間約2時間(休憩なし)

これは坂手洋二版『銀河鉄道の夜』である。幻想的でなぞめいた、そして切ない別れのある夜汽車の旅のドラマ。冒頭は他に誰もいない夜汽車の車両。老齢の女流作家らしき乗客(渡辺)とそのいとこで国家の機密にかかわる任務を帯びているらしい男(串田)。男は作家の作品の登場人物なのかもしれない。続く回想シーンでは、二人の若い頃を演じる若い二人(宮本・佐藤)があらわれるが、さらにつづくシーンでは同じ二人が作家の息子とそのいとこである婚約者を演じるので少し混乱する。

JRの夜行列車のつくりとしては立派過ぎるな、と思っていると、セットはそのまま、作家が山の中に、本物の列車を運んで作らせた別荘の一室ということになり、欧州仕様を模して作らせたのだとわかる。この山荘のシーンになると、背景に高くうっそうとした森の木があらわれ美しい。美術は誰かとパンフを見たら堀尾幸雄氏。どこでもいい仕事をしているなあ。それをひきたてる照明も素晴らしい。

内容は坂手氏らしく、難解でもあるが、面白くもある。いとこ婚についての様々な歴史的社会的問題が語られる。どちらかというとこのあたりがテーマなのだろうかミステリー仕立てでもありSF風でもあり、テレビ番組のシーンなどコミカルでもある。最後に謎を残したまま、「たっくん」(串田)が消えていくのもいい。ただ、「終着駅は終点ではなく折り返し地点」といったセリフは、救いでもあり希望なのだが、あれがなくて切なく終わっていく方が自分の趣味にはあっていたかな、と思う。あれはちょっと説明的だったかな。自分としては惜しい。

惜しいといえば、渡辺さんがかたい言葉の入ったセリフを何回かいいなおされたこと。また全体的にいつも見ている燐光群の芝居よりのっそりした感じがしてしまったこと。たとえば冒頭の夜汽車のシーンは、ぼそぼそ、っという感じの声で複雑な設定を話すのでわかりにくく入りにくい気がした。なおかつ照明の明るさが夜汽車、なので・・・なかなか厳しい。この芝居を燐光群の役者さんたちの迫力ある演技でみたいな、とちょっと思った。思ったのだがさて、実際燐光群で活躍される役者さんたちをどの役にあてるか、と考えてみるとなかなか難しいということがわかり、やはりこれはこれでいいのだな、と思い直す。

『だるまさんがころんだ』や『屋根裏』と同様、すべては理解できないが、心に残る芝居だ。

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