« 『まちがいの狂言』(世田谷パブリックシアター) | トップページ | 『その河をこえて、五月』(新国立劇場) »

2005/05/29

『アイスクリームマン』(岩松 了3本連続公演)

3本連続公演の第1本目。本人の演出である。「日本のチェーホフ」などと称される、岩松了だが、はずかしながら作品をいままで観たことがなかった。この「比較的初期の作品」の初演年を確認していないのだけれど、あの薄っぺらなバブルの頃の匂いがぷんぷんする戯曲だった。なるほど「チェーホフ」か。

観劇日:5月20日(金) 19:00開演
上演時間 約2時間(休憩なし)

東京から離れた山間の合宿自動車教習所。そこに集まるたくさんの若者たち。それぞれがキャラクターであり、背景をもっているようだが、子細は最後まであきらかにされない。このシチュエーション自体が「三人姉妹」のパロディっぽいし、チェーホフ劇を意識したセリフが随所にある。しかしあの重厚なロシア演劇の舞台ではなく、Tシャツを来て、フォークギターを弾き語り(「二十二歳の別れ」だ!)、アイスクリームをなめたり漫画を読んだりして時を過ごす青春たち。チェーホフ劇のチープなパロディだ。その作りのうまさには驚く。

誕生会でばか騒ぎし、井上陽水の「少年時代」を合唱。なんだか自分の、あの時代を思い起こさせてかなり気恥ずかしい。テレフォンカードにさえ対応していないピンク電話も時代を感じさせる。そして、受付の女子職員に思いを寄せてか6ヶ月も長期滞在して免許をとらない男、高級スポーツ車でやってくるその受付職員の姉。街に出てソープに行く男、などは、バブル期の金余りを思い起こさせる。

屈折した方法で自分の思いを告げたということであろうか、最終部のみていられなさ、も含めて、あの時代独特のチープで気恥ずかしい自分たちの姿を思い起こした気がした。そういう意味では、「時代を反映した」歴史的作品としての価値あり、であろう。

スズナリの舞台にあんなにたくさんの役者が出てくるのも始めてみたが、やはり荒川良々、小島聖が出てくると、芝居がしまる。「のつぼ」のチョウソンハ、それを受ける女子職員役(ちょっと名前を失念。スミマセン。)も印象的だった。

|

« 『まちがいの狂言』(世田谷パブリックシアター) | トップページ | 『その河をこえて、五月』(新国立劇場) »

「演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15869/4326892

この記事へのトラックバック一覧です: 『アイスクリームマン』(岩松 了3本連続公演):

» M&Oplaysプロデュース『アイスクリームマン』(作・演出:岩松了) [現代演劇ノート〜〈観ること〉に向けて]
「喜劇」としての会話劇岩松了3本連続公演・第1弾として下北沢ザ・スズナリで上演された、岩松了作・演出による『アイスクリームマン』は、戯曲だけ読むといささか平板な印象を受けもする「言葉」が、舞台上でビジュアル化されることで生気を帯びてみえてくる会話劇であった。... [続きを読む]

受信: 2005/06/02 22:27

« 『まちがいの狂言』(世田谷パブリックシアター) | トップページ | 『その河をこえて、五月』(新国立劇場) »