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2005/03/04

『蛇よ!』(蛇*蛇、スパイラルホール)

表参道のスパイラルホールにて、松尾スズキ作・演出で、大竹しのぶとの二人芝居。ユニット名が「蛇*蛇」ということのようだ。ステージ脇には「蛇として」と書かれた書道の額が飾られている。(続きは、かなりこまかくネタバレしています。これから行かれる方は注意してください。)

観劇日 3月2日(火) 14:00開演 D列右ブロック
上演時間 1時間35分程度(休憩なし)

内容は4つの短編。それぞれの幕間にモノクロの映画(5分ずつ程度か?)が幕前のスクリーンで上映される。この映画は「出しっぱなしの女」と題される続き物である。つまり、構成は以下の通り。

1 芝居「初めてのSM」
2 映画「出しっぱなしの女#1」
3 芝居「突起物の女」
4 映画「出しっぱなしの女#2」
5 芝居「これからの人」
6 映画「出しっぱなしの女#3」
7 芝居「刺したね」 

コント的な掌編が4つと映画ということで松尾的なシュールさや不気味さもちょっとあるが、基本的には気軽に楽しめる作品だろう。単なるお笑いコントではなく、ちょっとだけ、生命の営みの不思議さ怪しさに思いをはせることもできる。『喪服の似合うエレクトラ』や今年5月の『メディア』など、深刻な作品ではみられない、可愛らしい、はじけた大竹しのぶをみることができ、松尾スズキのあのくねくねした不気味さ(だから「蛇」?)も全開。

以下さらなるネタバレ。要注意。


1「初めてのSM」は、家族経営の会社?の金を持ち逃げして逃げてきた男(松尾)がラブホテルで死ぬ前にSMプレイをしようと女王様を呼ぶ話。あらわれた女(大竹)は42才。泥だらけのゴム長姿で方言丸出し、沼を渡ってきたという。娘に子どもが出来たためその代理で来たという設定だが、大竹さんが可愛らし過ぎて、うらぶれた感じでは全然ない。披露宴で歌うカラオケの練習と称し、歌も歌えばタップまで。松尾流のシュールな設定だが、ちょっとほろっとさせる面もあり。

3「突起物の女」は、ある精神科医(松尾)のところに舞台女優(大竹)が診察に来る。精神科医の眼には女優の頭に突起物があるように見えてしまうが、実はそれは彼が中学生の時の恐ろしい記憶から来るものだった。大竹さんが精神的にヤバい「舞台女優」の役でその設定がへんに現実を連想させて危ない。記憶の中の、ホモの中学生役と二役。

5「これからの人」。二人ともなんと精子。卵子着床に急ぐ精子の間の語らい。あたまに角、というか精子のしっぽをつけた白い着ぐるみの二人。これも大竹さんの明るい前向きな精子がやけに可愛らしい。結局松尾の方が着床してこの世に生まれることになるようだが、よく聞いているとそれは、第1話の男のようだ。大竹がなりたがっていた女優の芸名は第2話の舞台女優のアイドル時代のものである。不思議なつながり。

7「刺したね」。43才の女(大竹)が別れた男を刺そうとして、通り掛かりの40才の男(松尾)を刺してしまう。男はひきこもりで10年ぶりに外出したばかりだった。身体に包丁が刺さったまま、女の落とした携帯から女の自宅に電話をかけ、話の内容を手がかりに、男は女の部屋まできてしまう。他の幕もふくめてこの芝居の登場人物たちはほとんどが40代で、ことさら年齢が強調されている。現代日本の40代の多様さと不安定さとバラバラさと哀しさと。そんなようなものが隠しテーマになっているような気もした。

幕間の映画「出しっぱなしの女」は水道局員(松尾)が、水を出しっぱなしにして料金を払わない女のところに料金をとりにいくが、女には化け物たちがついていて男を苦しめるという話。大竹さんが男の恋人役と出しっぱなしの女の二役。

『蛇よ!』という題は、80年代くらいに全盛だった詩の雑誌『鳩よ!』から来ているのだろうか。ならばこれは松尾流の詩的小品集ということかな。
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『蛇よ!』(蛇*蛇) 
企画・製作 シスカンパニー/大人計画
スパイラルホール 2005年3月1日(火)〜21日(月)
観劇日 3月2日(火) 14:00開演 D列右ブロック
上演時間 1時間35分程度(休憩なし)

作・演出・出演 松尾スズキ
出演 大竹しのぶ

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