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2005/03/10

『すなあそび』NYLON100℃ SIDE SESSION #9

NYLON100℃のいわゆる若手公演である。戯曲は別役実のもの。過去二度上演されているそうだ。場所は笹塚ファクトリー。笹塚駅降りてすぐの小劇場。

観劇日 3月9日(水)19:30開演 全席自由
上演時間1時間20分程度

1月に『悲しき天使』を観に行った時は、客席に段差がほとんどなかったのだけれど、今回は階段席を組んでいる。舞台には題名通り、砂場。中央にこどもが作りそうな砂山(もう少し大きいかな)がある。整理番号は106番。開場時間を15分くらい過ぎて着いてすぐに入れた。席は後ろの方だったが。ちなみに前3列くらいは桟敷席。ここはまだほとんど空いていた。最終的には満員。

役者さんは、他のNYLON の公演で観たことあるかな〜、くらいの人達。最近は若手の出演できる機会が減ってしまった、と入り口でくれた小さなパンフでKERAさんが「若手問題」を述べている。白石幸子さんのみ客演。最初の2シーンくらいが、演出として付け加えられたものではないかと思うが、それが終わると、別役の世界になる。

戯曲はいかにも別役実らしい不条理劇。肺ガンで死期が近いとされる考古学者とその妻が、海岸らしきところにある砂山から「ナウマン象」を掘り出そうとすると、そこに水着姿の男女や、つるはしを持った牧師がつぎつぎと登場。牧師は砂山に救世主が埋まっているので復活する時に掘り出すといい、最後に現れた医者と看護婦は、医者が看護婦へのプロポーズの印として埋めた「ファースト盲腸」(最初の手術で切除した盲腸)を掘り出すという。何も掘るつもりがなかった水着カップルも最後には「馬の歯」を掘り出すといいはじめ…、というわけのわからない話。

これをKERAが演出しているわけなのだが、これが自分としてはかなり面白かった。『消失』の時にも書いたのだけれど、最近のKERAは小津安二郎に傾倒しているようである。この『すなあそび』は、別役風の生真面目な不条理さ・滑稽さを見事に小津映画風のすっとぼけた味わいに変えていると思った。

まず、流れる音楽が小津映画のバックに流れているもの。どの作品かは思い出せないが、いかにも、なのですぐわかる。その他セリフの受け答えの間などが、いかにも小津映画の登場人物の会話を思い起こさせる。別役戯曲の会話と小津映画の会話は、本質的には異なるものではないかという印象があったのだけれど、これはその二つをブレンドさせている感じだ。とても面白かった。

ただ、これは何の象徴なのだろう?と深く考えさせるようなものではなく、なんかへんな話だな、ですっと終わってしまう。もともとの戯曲がそうなのか、演出によってそうなっているのか、ちょっとわからないが。牧師が救世主を探すなどというところがあるので、古い戯曲かと思ったが、初演は88年とのこと。「ケンタッキーフライドチキンの骨」はもともとの戯曲でもそうなのだろうか。

初日ということもあるのか、役者さんたちはまだちょっと手探りなところがあるように感じた。だんだん調子が出てくるだろうと思う。老考古学者役の役者さんが最後には本当のおじいさんに見えてきた。この老夫婦と海水浴カップルは小津映画の登場人物風の会話で、牧師・医者・看護士はいつものNYLONに出てきそうなちょっとファナティックな役柄だった感じがする。どかんどかん受ける劇ではないが、くすくすと笑いどころはたくさんある。もっとも自分だけ周りと違うところで笑ってしまい、笑いのツボが違うのかな、と後で考え込んでしまったが。

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『すなあそび』NYLON100℃ SIDE SESSION #9 若手公演
笹塚ファクトリー 2005年3月9日(水)〜3月13日(日)
観劇日 3月9日(水)19:30開演 全席自由
上演時間1時間20分程度

作:別役実
演出:ケラリーノ・サンドロビッチ
出演:植木夏十 眼鏡太郎 佐藤竜之慎 皆戸麻衣 廻飛雄 柚木幹斗(以上新進芸術家)白石幸子(客演)

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コメント

こんにちは。コメントありがとうございました。
「マイ・ファースト別役実」だったせいか、ホントにわけのわからない話だな…という印象が強かったです。ノリやスピードで笑わせるケラ演出であればドカーン!ときそうな場面も多々あったのですが、それを期待していたのが悪かったのか、疑問符ばかり浮かぶ観劇になってしまいました。”小津作品的笑い”を思い出していれば違った感想を持ったのかなあと思っています。

投稿: | 2005/03/13 12:53

優さん

こちらにもコメントありがとうございます。あちらのコメントを読んで気がついたのですが本当に「砂」つながりなんですね。『砂の上の植物群』どんな舞台になるのでしょうね。優さんの予定と同じ日のソワレの方のチケットがとれたので行く予定です。楽しみですね。

投稿: BP | 2005/03/13 21:48

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