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2005/02/16

こまつ座『円生と志ん生』

最近仕事がたてこんでいるせいか、勘違いが多い。紀伊国屋ホールでの上演なのに、紀伊国屋サザンシアターに行ってしまった。しかも開演時間も30分遅く間違えていて、あやういところだったが、同じ新宿でよかった。無事開演5分前には座席に着いた。

観劇日 2月16日(水) 18:30開演 P列右ブロック
上演時間 2時間40分(15分の休憩を含む)

いつもながら高齢者の多い観客層。しかし補助椅子まで全て出して満員御礼である。すぐ近くの補助椅子にはある劇団の人気俳優さんの姿も。当日券で入られたのだろうか。

太平洋戦争末期に軍属として満州に渡った三遊亭円生と古今亭志ん生。敗戦で大連に足止めされたうえ「文化戦犯」として追われてしまう。一時は浮浪者同然の暮らしに耐え、やがて志ん生が引揚げ船に乗り込むまでの「600日」を描いている。敗戦によって兵役や公職に就いていた日本人男性はほとんどシベリアに抑留され、運良く追及を逃れた二人はソ連引き上げ後もそのまま大連市中に残る。というわけでまわりは女性ばかり。さまざまな場所で出会う女性たちを4人の女優が次々に演じていく。

敗戦なのにのんびりと旅館で昼まで寝ているような出だしは、ちょっとだるいな、と思っていたが、だんだんと状況が厳しくなっていき、逃亡生活の末、野宿をするようになる。そこで子どもを中国人に預け死んでいった女性たちの霊が登場。ここで不覚にも涙。最近の井上ひさしの作品は音楽劇の様相がどんどん強くなり、お気楽な感じの歌が続くのでまるでミュージカルのようだな、と油断していたのがまずかった。

後半は円生が現地妻を持ち、役者の仕事をして裕福な暮らしになり、志ん生は意地を張って浮浪者のまま、という落差。物語も求心性を持ち、4人の女優のシーン毎の役柄の演じ分けも興味深く、入り込んで観た。特に修道女が志ん生を再臨のキリストと勘違いするというありえない(!)やりとりも聖書の言葉を引用して面白い。このあたりの造詣の深さは井上ひさしの真骨頂だ。ただ、ときどき出てくる説明的なセリフは個人的にはあまり好きではないのだが、これはまあお約束ということで。

落語家を演じるお二人はとにかく上手い。落語に詳しくないため、かなり御本人たちの特長をとらえて演じられていると思うのだが、あまりわからなくて残念。「ひ」と言えず「し」と言うところなんざあ、江戸っ子だね。女優陣のなかでは、こまつ座初出演で青年団所属のひらたよーこさんが清新な演技。なんとなく永井愛作品によく出演される小山萌子さんに似た雰囲気。今晩は宮地さんが二幕途中でズラを飛ばしてしまい笑いを誘ってしまったのが幸か不幸か。

幕切れも印象的で新作としてなかなかの出来だと感じた。

なお、パンフレットにあたる「季刊 the座」(900円)には、井上ひさし自筆の「円生と志ん生」年譜が折り込まれており、一見の価値あり。
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こまつ座第75回公演 「円生と志ん生」
紀伊国屋ホール 2005年2月5日(土)〜27日(日)
観劇日 2月16日(水) 18:30開演 P列右ブロック
上演時間 2時間40分(15分の休憩を含む)

作 井上ひさし
演出 鵜山仁
出演 角野卓三 辻萬長 久世星佳 神野三鈴 宮地雅子 ひらたよーこ

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コメント

おじゃまします。
私もこの作品を見ましたので
記事をTBします。
よろしくお願いします。

投稿: mineokob | 2005/03/18 15:56

mineokobさん

こんにちは。TBありがとうございます。元記事よませていただきました。続編を期待しています(^ ^)

投稿: BP | 2005/03/19 16:11

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