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2004/12/08

野田地図第10回公演・走れメルス   ー少女の唇からダイナマイト!

いよいよ幕を開けたNODAMAP。夢の遊眠社の初期作品『走れメルス』の再演である。ストーリーのわかりにくさにひいてしまった人もいるようだが、自分はとても満足して帰ってきた。それにしても今回ほど自分が遊眠社時代のことをまったく知らないことを幸福に思ったことはない。

それは過去の呪縛にとらわれることなく、純粋に今現在への問いかけとして観ることができたからだ。古くからのファンの方は以前の上演や役者のイメージが強固でそうはいかないだろう。最終部の焼け跡の情景とセリフも、まさにこれは現在の日本の状況なのだ、と感じた。ほろ苦い絶望と未来へのかすかな希望。野田ワールドは昔から変っていないのだなあ。もちろん時を過ごして古びたギャグもたくさんあるが、圧倒的な戯曲の言葉の力と構造の普遍性を全身に浴びることができた。

中心となる4人の役者がみずみずしい。特に深津絵里と小西真奈美が素晴らしい。勘太郎もがんばっている。小西は『赤鬼』よりものびのびとして美しい。演出も猥雑なアングラ風味とビデオ映像の使用などテクノロジーを取り入れた現代的な風味を非常にうまく組み合わせたものと感じられ洗練されていると思った。

戯曲も少し読み進めていて、唐十郎みたいだな、と思っていたら、パンフのインタビューで本人も唐さんの影響を認めていたので嬉しくなる。『唐版・風の又三郎』を観たばかりだし、つながりや比較を考えることも面白い。

上演時間は1時間45分程度。パンフレットは一部1000円でポスターと同じデザイン。出演者写真、稽古風景他。演劇評論家扇田昭彦氏と野田氏の対談「走れメルスから覗く野田ワールドの変遷」掲載。遊眠社作品の今後の再演の可能性にもふれる、興味深い内容。戯曲は新潮オンデマンドブックで、これもポスターと同じデザインカバー付。1500円。今回の上演のために加筆訂正されたバージョンである。入り口でもらうチラシにはキャスト表とNODAMAP登録会員募集のお知らせが入っているので捨てずに確認して欲しい。

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野田地図第10回公演 走れメルス ー少女の唇からダイナマイト!
シアター・コクーン 12月3日(金)〜1月30日(日)上演時間1時間50分(休憩なし)
(観劇日12月8日(水)19:00開演S席A列右ブロック 9000円)
作・演出・出演 野田秀樹
出演 小西真奈美 深津絵里 中村勘太郎 河原雅彦 古田新太 
小松和重 浅野和之 松村武 腹筋善之介 六角慎司 櫻井章喜 峯村リエ 濱田マリ 池谷のぶえ

美術 加藤ちか
照明 小川幾雄
衣装 ひびのこづえ 
選曲・効果 高都幸男
映像 奥秀太郎
ヘアメイク 河村陽子
舞台監督 瀬崎将孝
プロデューサー 北村明子

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