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2004/12/12

子午線の祀り

かなり歴史的な作品なのだそうだ。私でさえその噂は聞いていたし、群唱が特徴であることも知っていた。4時間を超える大作。しかし残念ながら自分にはあまり魅力が伝わってこなかった。素材の好き嫌いもあるだろうが、すべてが今となっては使い古されている手法だ。

昨年の「世阿弥」もそうだったのだが、多分60年代・70年代の新劇の作品はあまりにコトバに頼り過ぎているのではないか。小説を読みきかされているような気持ちにさえなってしまう。

野村萬斎の知盛の登場場面。朗々と狂言調のセリフが続くので意味がとりにくいというかリズムに乗ってしまって意味が伝わってこずやがて飽きてしまう。ハムレットやオイディプスの萬斎ではなかった。義経が出てくる源氏側のシーンの方が劇としてまとまっている。観世さんはさすがにお年で観ているのがつらかったのだが、一幕はまだ座っているだけなのでよかった。三幕冒頭でセットから落ち、10数分の中断。もうだめかと思ったがそのまま演じられていた。しかしその後はらはらして演技が観ていられない。

たまたま観劇日が一緒になった知り合いは、面白かった、といっていたが、自分にはどうにも退屈な芝居であった。あのようなものが、素晴らしいと持ち上げられた時代が、アングラも終わりに近づいた頃にあったのだなあ。日本の新劇ってどうしようもなく、あの頃は遅れてしまっていたのだなあ、と思う。

そうした歴史的作品の上演なら、新風を入れるべく、新進の演出家の力が必要なのではないか。この時期に上演する意味合いも新味も感じられなかったのはとても残念である。歌舞伎ではないのだから(歌舞伎であっても)伝統だけでは魅せられない。

続けて夜は、シアタートラムで「60年代の演劇革命」についての短いシンポジウムがあった。ACTの賞をとられた、佐伯隆幸さんと斉藤楷子さん、に加えて佐藤信さん。司会は西同行人さんとそうそうたるメンバー。佐伯さんは佐藤信さんの黒テントの制作をやっていたのだそうだ。一時間と短くて何かの結果が出たわけではなかったが、60年代をかけぬけた演劇人達の意識というのをかいまみて、とても興味深かった。ACTの出している「シアターアーツ」の最新号を買う。野田秀樹氏のインタビュー記事などあり、有益な情報を得られてよかった。

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